天使と悪魔についてはかなりの読者が多少なりとも知識を持っていると思われる。

西洋では最近とみに天使崇拝が盛んになっており、守護天使なるものが人気を読んでいるらしい。

今回紹介するのは天使と悪魔がよくわかる本という、題そのままのものである。



本書のすぐれたところは、著者がきちんと宗教学を専攻した方だということである。(現在は高等専門学校の講師をなさっている)

天使を象徴する翼は、実は異教のキューピッドに影響されたものである。

そのことは、聖書外典の「トビト記」を読んでみていただければわかる。

天使が登場するが、別に普通の人間と外見上は変わりないのだ。

だから、翼が天使を象徴しているというのは、あやまった認識なのであろう。

本書にはキリスト教の天使と悪魔だけでなく、ユダヤ教、イスラム教、ゾロアスター教など、あらゆる宗教の天使と悪魔を扱っている。

しかし、この著者はいうのである。

天使と悪魔の間には実は絶対の区別はないのだ、と。

このあたり、少々飛鳥昭雄氏とはちがった見解である。

飛鳥氏の天使悪魔論は既刊失われた堕天使「ルシファー」の謎に詳しいのでそちらを参照していただきたい。

ここでちょっと思い出していただきたいのだが、エドガー・ケイシーという予言者がアメリカにいた。

眠れる予言者といわれた彼である。

彼は晩年は日本が沈むとか、ポールシフトがおこるとか、ニューヨークが海に沈むとかいろいろと不吉なことをいっていたわりには、それらは全く実現していないのだが、彼にそれらを予言させたのはハラリエルという天使だったという。(ちなみに、エドガー・ケイシーは「沈みつつある」と言っていたのであって、「沈む」というのは誤訳であると南山宏氏は述べている)

〜エルという名前は天使にはありがちな名前であって、エルが神という意味なので、〜エルという名前の天使はみな「神の……」という意味の名であると言える。

ただし、ハラリエルに関しては、聖書のどこにもその名が出ておらず、飛鳥氏はハラリエルを堕天使と断言している。

飛鳥氏ですら「晩年のエドガー・ケイシーは」というようにハラリエルに翻弄(?)されるようになったのは、晩年のことだとしているのだが、「天使」と「悪魔」がよくわかる本においては、「かなり初期からケイシーはハラリエルをうとんじていたらしい」と書かれているのがちょっと気になる。

ケイシー自身は小学校時代に「白い衣を着た人物」を見て以来、予言の能力を得たらしいのだが、すると、この白衣の人物がハラリエルだったのだろうかという疑問が出てくる。

ハラリエル自身は、しばしばケイシーの主催する集会に頻繁に参加していたらしいのだが、あまりにも不吉な予言ばかりをするので、どうも集まった人たちに好まれなくなっていったらしい。

ただ、ハラリエル自身はケイシーの口を借りて「堕天使と戦うミカエルの側につくもの」と言っていたらしい。

はたしてハラリエルとはなにものだったのか。

本書を読んでチラとそんなことを考えたのである。

大変読みやすい本なので、天使や悪魔に興味のあるかたはお読みになっていただきたい本である。

それに、なにしろ安い。

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